1人の著者の方は、1冊目を出版されると、2冊3冊目と、1~2年に1度くらいのペースで、出版が続くことがあります。それも珍しいことではありません。
例えば塾を主宰する先生が、成績アップの本を何冊も出されています。「成績アップ」という1つのゴールのために、なぜ何冊も本を作ることが可能なのでしょうか。
1冊の本のボリュームは、200~250ページ・8万~10万文字もあります。
書店に行くと、もうお気づきの方も多いと思いますが、「成績アップ」について、様々な「切り口」の本が並んでいます。切り口とは、そのノウハウのどこを切り取るか、ということですが、一言で言うとアプローチのしかたです。成績アップ本なら
・集中力をつける
・国語力をつける
・塾の選び方
・お母さんの声かけ
・お父さんの関わり方
・コーチング的関わり方
・脳科学からのアプローチ
などなど、それぞれの切り口で成績アップをさせるというもの。
集中力をつけて好成績を取る、
国語力をつけて読解力をつけ全体の成績をアップする、
良い塾を選ぶことが好成績につながる。。。
最近では「脳」の仕組みを解説した成績アップ本まで登場します。時代の流ですね。
このように「成績アップ」と言っても、本当に様々なアプローチのしかたがあります。
塾の先生は、毎日子供たちの成績アップと向き合い、子供たちに直接指導をし、様々な経験をしているため、多くの切り口で、何冊も出版が可能になるのです。
じゃぁ、その色々な切り口があるのなら、全てを1冊にまとめれば?
色んな事を載せているから、オトク感いっぱいの良い本になるんじゃない?
と思われるかもしれません。そういう本は、
良い塾を選んで、国語力をつけて、母親がコーチング的良い関りをし、脳の仕組みを利用する。。。
的な本になります。いかがですか?
私が受験生の母親なら、そんなにも多くのことが出来るわけないし、読んだところで何から手をつけていいかわからなくなります。その前に、読んでいる途中で「ムリ」と思って読むのをやめてしまうかもしれません。
我が子の成績が何とか上がってほしいと、本を買ってきて実践しようとしたのに、本に書かれていることはややこしく、しかも最後まで読むこともできなかった。。。
残念な1冊ということになります。
一方、切り口を一つに絞り、「集中力をつける」だけすれば、分かりやすく、最後まで本を読み通すことができます。
そして、「これならできる」と希望が持てます。
・1冊の本に様々な切り口を盛り込み、途中で「ムリ」と読むのをやめてしまう本
・「集中力」1つのことを書いていて分かりやすく「これならできる」と希望が持てる本
どちらが読者にとってありがたいか、役に立つか、そしてどちらの本が売れるかは、ハッキリしています。
本というのは、1冊で伝えたいことは1つ、が基本です。
塾の先生は、「成績アップ」のための複数の切り口を1つに絞って、それぞれの本を何冊も出版されているのです。
いかがでしたか?
お一人の著者が、1つのテーマで何冊も出版できるのは、1つのテーマに対して切り口が沢山あり、それぞれの切り口で複数冊を出版されているからです。
次回は、「なぜ、1冊の本で伝えたいことは、1つだけなのか」について、もう少し詳しくお伝えします。