『あした死んでも「後悔」しないために今できること』

こんにちは 市川弘美です。

1つ質問をさせてください。あなたにとって「これをやらないとあの世には行けない!」ことって何ですか?

たとえば世界を旅行してまわりたい、気球に乗って空を浮遊したい、事業を大成功させたい、またはあの店のラーメンをもう一度食べたいなどなど、人によってさまざまです。また「今、すぐに思い浮かばない」と思う人も少なからずいると思います。

そこで今回は、『あした死んでも「後悔」しないために今できること』という書籍をご紹介します。

内容は、人生の最後の過ごし方、終わり方を決めておき、それを周りに伝えておきましょうというものです。それが、明日もしものことがあっても後悔しないために今できること、というわけです。

著者は、神戸にある六甲病院にホスピス病棟がつくられるときに準備段階から関わり、ホスピス医として終末期医療で多くの患者を看取ってきました。そこで経験した様々な「事例」について書かれています。たとえば最後は自宅で過ごしたいと希望したガン患者。一旦入院したけれど、どうしても自宅で過ごしたいと願った、幼い子供を持つ母親の患者。子供がいたけれど夫婦二人だけで最後の2週間をホスピス病棟で過ごした患者。そして、一人暮らしで最後は自宅で過ごしたいと希望した患者などです。

どの患者も患者自身の希望がスムーズに時には紆余曲折を経て叶えられ、著者が地域の人たちや家族と一緒に患者を看取ったストーリーがそのまま描かれています。

病院、自宅、施設などで最後を向かえる、それぞれのメリットやデメリット、気をつけておく点などが具体的に書かれており、多くの患者の希望を叶えてきたホスピス医ならではの視点がとても参考になります。

私は看取られ方を家族に伝えておくことは、自分が後悔しないためだけではなく、看取る側にも大切な人の亡き後に後悔や罪悪感が残らないためにも、大事なことだと思っています。

また看取る側になったときに、本人の意思をしっかりと理解していれば願いを叶えてあげたいと思います。分からなければ、どうしていいか迷いに迷うことでしょう。どれほど迷っても「そのとき」に決めなければいけないのは、最終的には看取る側なのです。

とは言うものの、まだ年齢的に人生の最後について考えられないし実感も湧かない、よく分からない。そんなふうに感じる方も多いと思います。私もそうです。でも分からないからこそ、自分は人生の最後をどう過ごしたいのかを、時間をかけて考えていく必要があるのです。「本当は自分はどうしたいのか」と自分と向き合うことが大切です。

「まだ早いから」「いつか考えよう」「70歳になったら」と漠然と考えている人は多いと思います。このようなことは「きっかけ」や「後押し」してくれる何かがあれば前進できます。

その点で、こちらの書籍は、自分の人生の最後の迎え方について考えるきっかけを与えてくれる1冊です。


2014年の刊行で新品は手に入らないようですが、Kindleや図書館で借りて読むことができます。

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