いつ、どうやって「終わり」は来るのか?

こんにちは 市川弘美です。

始まりがあれば、終わりがあります。
もし今あなたが住んでいる家が持ち家の一戸建てかマンションで、このような状況ならどうしますか?
老朽化であちこあちガタが来ている。
修繕しなければいけないが莫大な費用がかかる。
このまま住み続けるのは危険だ。

これらは、築何十年も経ち住み続けるには老朽化が進み多くの問題を抱えている状況です。この場合は、お金をかけて修繕するか、または引っ越すかという選択に迫られます。しかし本来なら選択に迫られ対策をしなければいけないはずなのに、問題を直視せずそのまま住み続けているというのが、多くの人の現状でしょう。

先日テレビ番組で、マンションの老朽化問題をやっていました。建物が古いということは大体住民も古くから住んでいます。つまり老朽化と高齢化の「2つの老い」がテーマでした。

例えば、高齢で一人暮らし、近所づきあいがなければ、認知症になっても自覚しづらいという状況になります。ゴミ出しの複雑な分別がおぼつかなくなり家にゴミを溜めるようになるそうです。そして時には孤独死という悲しい結末にもなるのです。

他には、築48年のマンションで、12年後に解体が決まり、管理組合と住民は今、修繕をしながら取り壊しに向かっている事例が取り上げられていました。老朽化したマンションの「終活」です。
「これまで問題を見て見ぬふりをしてきた」、「このままいても問題を先送りしているだけで後の人が困るだけ」、「前向きな結論」などという住民の声がインタビューされていました。確かに生きている場所である自分の家が、建物が古くて危険だと分かっていたり水漏れが起きたりしているのに、見て見ぬふりというのは、何だか落ち着かないものです。

「古いから別の場所に引っ越す」というのも、お金があるからできるわけではありません。高齢者が一人や二人で引っ越しをするのは現実的に困難ですし、また高齢者には、保証人がいないことが多いため、貸してくれるところが見つかりにくいといった現実もあるのです。

私自身も築23年のマンションに2世代で住んでいます。立体駐車場の平面化工事や大規模修繕などは他人事ではないですし、あと30年もすればマンションの「終活」を考えなくてはいけないかもしれません。終の棲家になるかどうかは今のところ分かりませんが、何十年も住み続け愛着のある家を離れるというのは、今は仕方ないなとサバサバと考えられます。ですがその時になれば、身を切られる思いがするのではないかと思うのです。

日本の古い家長制度は合理的だったなと思います。長男や養子が「家」を継ぎ親の面倒を見て、また次世代へも同じように引き継がれていきます。かやぶき屋根は、30年に一度葺き替えられるといいますから、家長が自分の代で一度葺き替えれば、家は100年や200年は住み続けられます。相続が争続になることもなく、誰が親の介護をするかといった問題も起こりにくいでしょう。

とはいえ、時代とともに社会は変わり人々の生活様式は変化していきます。「問題を先送りしているだけだ」とインタビューで答えていた人の言葉が印象的でした。

いつ、どうやって終わるのか。
いつ、どうやって終わりたいのか。それが自分に向き合うことであり、自分に向き合うことこそが終活の意味なのです。

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